生涯学習論 試験対策(11−15)

生涯学習論

私の場合、学習理解を深めるかつ試験対策として「科目終末試験問題」と過去問の自作解答例を作成するようにしていました。メモ程度に大まかに内容をまとめておき、試験問題に合わせてその場で自分の考えなどを追記するようにしていました。そのためここで記載する内容は、まとまった記載はではなく、文字数も少ないものや多すぎるものなど様々です。学習のちょっとした参考になれば幸いです。

参考にしたテキストのページ数も載せておきたいと思います。2022年4月入学ですので、問題内容や番号、ページ数に相違があるかもしれません。また、下記の解答で合格をした訳ではありませんので、ご留意下さい。

*注* 解答例の丸写し提出は大学より禁止されていますので、参考程度に留めて下さい。

11.ノンフォーマル教育の概念について述べ、生涯学習支援の方法について

テキスト参考ページ p99-103

  近代以降、制度化された学校教育に代わるオールタナティヴな教育に対する試行が活発に行われるようになった。その過程で時に注目されたのが、学校教育(フォーマル)以外での組織的な集団学習としてのノンフォーマル教育の理論と実践である。

 ノンフォーマル教育の概念規定は、主に次の二つの側面でなされている。一つは、学校教育との関係において規定するものであり、学校教育体系に相当するフォーマル教育に対して、“non”である教育としてフォーマル教育と対置される教育とする規定の仕方である。学校教育への否定的概念を含む規定と言ってもよい。

 もう一つは、教育を広く捉え、教育にはフォーマル教育とインフォーマル教育そしてノンフォーマル教育の3領域があると想定する規定の仕方である。ユネスコでは「ノンフォーマル教育は、教育機関の内外どちらでもなされ、あらゆる年代の人々に応じる」と定義している。またJICAでは、「フォーマル教育が制度化された学校教育システム内の教育活動である一方、ノンフォーマル教育は、ある目的をもって組織される学校教育システム外の教育活動である」と定義した。ノンフォーマル教育は、課題解決型の教育として優れた効果があると期待されており、また、生涯にわたる学び、生涯学習の形態としても適しているとされている。

【生涯学習支援】

 ノンフォーマル教育は、個々人の学習ニーズに応える教育形態であるとともに、個々人の学習を社会の発展・開発にまでつなげる機能を持つ教育活動であるととらえることができる。

 1997年「成人学習に関するハンブルグ宣言」では、人間中心の開発概念と参加型社会を理想として人々の参加を促す成人教育の必要性を訴えた。

 これは、参加型学習を重視する教育観につながっている。参加型学習とは、学習者が主体的に教育学習過程に参加することを促す学習方法である。双方向型の授業や演習といった学習形態や、学習者自身による体験を取り入れた学習などが、この中に入り、参加体験学習と言われる場合もある。

 参加型学習では、学習者が自ら教育課程に参加することにより、ただ一方的に知識を教えてもらうよりも、学習内容に対し学習者自らの関わり意識が生まれたり、学習者同士が積極的に関わり合う中で新たな気づきを得たりするなどの学習効果を期待することができる。 …今日では、多くのノンフォーマルな教育といわれる教育活動において、参加型学習を導入することによって人々や集団の意識を大きく変えていくことが注目されている。生涯学習支援の形も時代の流れと共に変化しているのである。

12.生涯学習社会における学社連携と学社融合の考え方と具体例について

テキスト参考ページ p110, p113

 1996年の生涯学習審議会の答申「地域における生涯学習機会の充実方策について」において、学社連携とは「学校教育と社会教育がそれぞれ独自の教育機能を発揮し、相互に足りない部分を補完しながら協力しようというもの」であり、また学社融合とは「学校教育と社会教育がそれぞれの役割分担を前提とした上で、そこから一歩進んで、学習の場や活動など両者の要素を部分的に重ね合わせながら、一体となって子どもたちの教育に取り組んでいこうという考え方であり、学社連携の最も進んだ形態と見ることもできる」と、学社連携との比較の中で学社融合の定義を行い、青少年教育施設のみでなく社会教育・文化・スポーツ施設などが学校と連携して、自然や日常の生活の中での体験学習のための事業を展開していくべきであると提言した。

 これまでの社会教育事業では、青少年教育施設で行われる活動を除くと、その対象は成人中心であった。…社会教育の対象として子どもを正面から位置づけようという姿勢の表れであり、学校がこれまでに果たしてきた役割の一部を学校と連携しつつ地域住民が果たしていこうとするものである。

【具体例】

 学社連携・学社融合の具体的な活動は、地域によって多様である。たとえば、学社連携の一例として、理科の授業で地元の動植物についての学習の一部として、科学系の博物館を利用するという、いわば学校教育が社会教育施設を補助的に利用するという形態の授業がある。博物館での授業では、児童・生徒は動植物の標本やさまざまな実験道具に触れたり、学芸員から専門的な観点から話を聞くことで、教育での座学で得られる以上の具体性を持って理解を深めることができる。これを一歩進めて、博物館がその事業の一つとして、学校が授業で活用できるプログラムを企画して学校に提供することが考えられる。前者は、学校にとって不足している機能を単発的に社会教育施設が補完する「学社連携」であるが、後者は、博物館という社会教育施設の事業そのものが主体的に学校教育の一部を担っている点で「学社融合」を実現するための取り組みであるといえる。…学社連携・学社融合を進めることにより、学校、地域住民の双方の関係者にとって大きなメリットがもたらされることになる。

 地域で子どもを育てる気運の醸成、学校と地域社会の連携の深化、子どもに協力することの大切さを理解させ規則正しい生活を身に付けさせること等を目的として、子ども達が公民館などの施設に一定期間寝食をともにしながら、学校に通う通学合宿活動が各地で行われている。公民館等の社会教育施設が学校の教育活動を行う場を提供する(学社連携)のみでなく、一歩進んで、学校と協力しつつ、公民館が主体的に講座開設・運営のノウハウや講師のネットワークを駆使して通学合宿活動のプログラムを企画し、学校教育に提供するところまで行えば、学社融合に結びつくだろう。 …重要なことは、連携か融合かということを二者択一で選んだり、どちらかに無理に当てはめることではなく、連携では不十分だから必ず融合に進むべきであるとは必ずしも言えないということである。学校教育と社会教育が連携協力する取り組みを行う中で、より多くの住民の関与を得られるか等の実質的な観点から最適な形態を選択すべきである。

13.学校教育と社会教育の違いについて、それぞれの特性の生かし方について

テキスト参考ページ p124

 学校教育については、全国的な教育水準の維持のために、学校の設置・教育課程・施設の基準・教員免許の基準、義務教育費の国庫負担等が法令で定められている。一方、社会教育については、地域の状況や住民の希望等によって教育内容等の面で自由度が大きい半面、地方公共団体が社会教育施設の経費や社会教育活動のために支出した経費である社会教育費が年々減少していることからもわかるように、財源的な裏付けが脆弱である。

 施設の設置については、学校教育では市町村に小中学校の設置義務があるなど、法令上の位置づけが明確であるのに対し、社会教育では、たとえば公民館については市町村が設置することとなっているものの、法令上の設置義務があるわけではない。

 教材という点でみると、読み書き算盤から始まるすべての国民に共通して必要な基本的な学力を確保するという考え方に立って、中等教育段階までの学校教育では、国が定めた学習指導要領に沿った教科書を使用することとなっている。これに対し社会教育では、全国的に共通の教科書や教育内容の基準は存在しない。…設置者である市町村が最終的に責任を持つ。

 学習者という点では、学校教育では児童・生徒が入学すると基本的には卒業するまでの期間通い続けることになるのに対し、社会教育では誰が何をどこでどの位期間学習するか、あるいは学習するかしないかも含め学習者本人が選択する。

 教職員については、学校教育では教育職員免許法により高等学校段階までの教育は免許状を有することが求められる一方、社会教育では実際の現場で教えるための資格や基準は設けられていない。これは、社会教育というものが、誰もが教わる立場であるとともに、教える立場になりうるという相互性を有するものと考えられていたためである。

 財政基盤の違いについていえば、学校教育の場合、公立学校は法令に基づいて国や地方公共団体が負担する経費によって運営され、私立学校についても国や地方公共団体からの補助が行われているのに対し、社会教育の場合、都道府県や市町村教育委員会の事務として、社会教育に関する事務を列挙しているが、法令上必須の事務であるとまではいえない。また、学校教育の場合、少なくとも学力的な面での向上の効果を数字で示すことが可能なのに対し、社会教育事業の場合、その成果を具体的に示すことが困難であり、事業の実績に基づいた評価が難しく予算削減の対象になることがある。 …これまで述べてきたように、社会教育学校教育は多くの点で異なる特性を持っている。…社会教育学校教育に比すると、よく言えば柔軟性があり、悪く言うと何をやってもよく、何もしなくても当座は困らないものであるかもしれない。また、社会教育はシステム全体が自由度の高いものとして設計されており、教えるべき内容について学校教育とは異なり明確な基準は存在しない。だからこそ、規定する個人の要望と社会の要請に応えるため、社会教育行政関係者は、住民のニーズを吸い上げ、地域の課題の把握、地域の学習資源の把握、学習の組織化、学習グループの形成等といった幅広い取り組みを創意工夫を凝らしながら行ってきた。今後、社会教育が、学校教育とは異なる特性を生かしつつ各地域で積極的な取り組みが展開される中で、人と人、人と地域、地域と地域を結びつけ、地域課題の解決に中心的な役割を果たし、まちづくりの中核になることが求められている。

14.生涯学習社会における公共図書館の役割について

テキスト参考ページ p137

 生涯学習とは、自己の充実・啓発や生活の向上のため、自発的意志に基づき、必要に応じ、自己に適した手段・方法を選んで、生涯を通じて行う学習のことである。生涯学習を振興していく上での基本的考え方として「個人の要望」と「社会の要請」のバランスを確保すること、「生きがい・教養」だけでなく「職業的知識・技術」を習得する学習の強化が論じられてきた。学習活動の拠点として社会教育施設が整備され、図書館は、法律上明記されている社会教育施設の一つである。図書館は、学習に必要な資料や情報を提供するため、今後、社会教育における役割はさらに重要となる。

 司書は、地域住民の生涯学習の直接的な支援をその職務としており、多様化、高度化する地域住民の学習ニーズに対応して、その果たすべき役割に対する期待はますます高まってきている。その役割は、学習者個人の特性の理解につとめ、各々が学習の目的を達成できるよう最善の支援を行うことである。支援の際には、個人の要望を満たすだけではなく、社会の要請とのつながりを提供し、社会での自分の立ち位置を模索する機会を与えることも必要である。垂直軸と水平軸の教育を支援するのである。この多様化、高度化するニーズに対応するために、専門職としての自覚を持ち、自らが生涯学習を実践していくことが求められる。

 学習には、図書、雑誌・新聞、パンフレット等の印刷資料とネットワーク情報資源が不可欠であり、これらを利用することによって学習が行われる。多様化、高度化する地域住民の学習ニーズに対応して、地域の課題を解決するために、レファレンスサービスの充実が求められている。

 図書館とは、先に述べた資料や情報を、司書等の専門的職員が中心となって、収集・整理・保存し、閲覧・貸出・複写・レファレンスサービス等によって提供する組織である。図書館は、サービスの向上と運営の効率化のために、日常的に連携・協力している。その中心は資料の相互貸借と書誌情報の提供である。このように、各館種が利用者に応じて、直接的または間接的に生涯学習支援を行っているのである。  生涯学習において図書館を利用することで、そこにある資料や情報を入手するだけでなく、社会とのつながり、社会での自分の立ち位置を模索する機会が与えられるべきである。「人(司書)」「資料、情報」「施設」の観点から図書館自ら自施設の見直し・発展を行い続ける必要がある。ただし、図書館だけでの発展をめざすべきではない。他の社会教育施設との間で連携・協力を進め、各自治体や教育委員会との相互理解と交流を進め、図書館の利用は学習の一環であることを明確にし、内容を広報すべきである。社会教育全体としての発展をめざし、図書館がその中心を担うべきである。

*提出レポートも参照

15.公立図書館の専門的職員の司書の役割について

テキスト参考ページ p142

 生涯学習を振興していく上での基本的考え方として「個人の要望」と「社会の要請」のバランスを確保すること、「生きがい・教養」だけでなく「職業的知識・技術」を習得する学習の強化が論じられてきた。学習活動の拠点として社会教育施設が整備され、図書館は、法律上明記されている社会教育施設の一つである。図書館は、学習に必要な資料や情報を提供するため、今後、社会教育における役割はさらに重要になる。その図書館を構成する3要素の一つ、「人(司書)」においては、その役割を認識し実践することが求められている。

 司書は、地域住民の生涯学習の直接的な支援をその職務としており、多様化、高度化する地域住民の学習ニーズに対応して、その果たすべき役割に対する期待はますます高まってきている。その役割は、学習者個人の特性の理解につとめ、各々が学習の目的を達成できるよう最善の支援を行うことである。しかし、個々人を個別に理解し、個々への対応を行うことには限界がある。そこで、学習者に共通する特性や解決すべき課題を踏まえ、その上できめ細やかな教育的配慮をもって学習者の学びの過程を支援していくことが望まれる。支援の際には、個人の要望を満たすだけではなく、社会の要請とのつながりを提供し、社会での自分の立ち位置を模索する機会を与えることも必要である。垂直軸と水平軸の教育を支援するのである。また、図書館業務に関する知識に加えて、IT技術、経営管理能力、社会の変化や地方公共団体の行政に関する知識、地域の関係機関と連携・協力するための広い視野と行動力が必要である。この多様化、高度化するニーズに対応するために、専門職としての自覚を持ち、自らが生涯学習を実践していくことが求められる。  生涯学習において図書館を利用することで、そこにある資料や情報を入手するだけでなく、社会とのつながり、社会での自分の立ち位置を模索する機会が与えられるべきである。「人(司書)」「資料、情報」「施設」の観点から図書館自ら自施設の見直し・発展を行い続ける必要がある。ただし、図書館だけでの発展をめざすべきではない。他の社会教育施設との間で連携・協力を進め、各自治体や教育委員会との相互理解と交流を進め、図書館の利用は学習の一環であることを明確にし、内容を広報すべきである。社会教育全体としての発展をめざし、図書館がその中心を担うべきである。

*提出レポートも参照

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