2022年4月入学の「児童サービス論」レポート解答例になります。
文章の構成など、少しでも参考になればと思います。
*注* 解答例の丸写し提出は大学より禁止されていますので、参考程度に留めて下さい。
「児童サービス論」レポート設題
1 図書館における直接(的)サービスと間接(的)サービスの意義と方法について述べなさい。
2 図書館におけるヤングアダルト・サービスの意義と実践方法について述べなさい。
*「レポート作成上の留意事項・ポイント」、「総評基準についてのメッセージ」にも、レポート作成のヒントがありますので、レポート作成前にも後にも読むことをお勧めします。
「児童サービス論」レポート解答例
1.序文
図書館サービスの一つに対象別サービスがある。児童サービスにおける直接サービスと間接サービスの意義と方法について、またヤングアダルト・サービスの意義と実践方法について述べる。
2.直接サービスと間接サービス
児童サービスの意義は、児童の心的な発達に寄与すること、生涯学習の第一歩として楽しみながら学んで成長すること、他の子ども達と一緒に資料を選び読み楽しみ社会性を身につけること、が挙げられる。その意義を果たすための方法について述べる。
(1)直接サービス(パブリックサービス)
間接サービスで準備された資料等を使ってなされるのが直接サービスである。読みたい本を借りる、調べものをする、おはなし会に参加するなど、利用者は様々な目的で図書館を使うが、ニーズに対し効果的な成果に結び付けるために展開するのが直接サービスである。
児童サービスでは、子どもと本をつなげる方法がいくつかある。読み聞かせは、図書を使って子どもに本を読んで聞かせることである。ストーリーテリングは、図書を使わずに話して聞かせることである。ブックトークは、テーマを定め複数の図書を紹介するものである。図書の一部を読み上げ、作品の背景など関連する話をして、子どもの興味を引くようにする。またレファレンスサービスでは、子どもの読書能力に合わせて対応する必要がある。明確に表現できない子どもから的確に質問内容を聞き出し、応えを分かりやすく伝える必要がある。しゃがんで目線を合わせるなど、話しやすい雰囲気を作ることが望まれる。
(2)間接サービス(テクニカルサービス)
間接サービスは、受入業務と整理業務に分けられる。受入業務では、資料を選び、発注、検収、登録、支払をし、図書館資料となるまでを扱う。整理業務では、分類や件名を定め目録データを作り、所在記号を付与する。利用者が資料を見つけやすいよう整理する仕事である。その後資料にラベルを貼り、汚損防止のため透明フィルムで覆い、紛失防止や業務効率化のためにICチップなどを装着する。
児童サービスでは、資料は発達段階を意識して選択し、図書(絵本、マンガ)、雑誌、AV資料の他、紙芝居や遊具が収集される。資料を丁寧に扱えない子どもが少なくないため、資料は丈夫に装備する必要がある。拝架も手の届く範囲で、簡略化・色分けなど分かりやすくする。掲示物やサービスカウンターの高さも子どもの身長を配慮する。絵本は表紙が見えるように置く。OPACは児童用検索画面を固定にして、タッチパネル式で検索できると使いやすい。ただし、自分で適切な資料を見つけられなかったり、そのことを的確に表現できなかったりするため、専任の職員を配置したり、フロアワークを丁寧にするなど直接サービスとの連携が必要である。
3.ヤングアダルト・サービス
対象別サービスの一つにヤングアダルト・サービスがある。ヤングアダルト・サービスとは、おおむね12歳から18歳までの青年期利用者に対して行うサービスである。ここでは、児童サービスから成人向けサービスへの橋渡しの機能が求められる。ヤングアダルトは一般的に、子ども扱いされたくないのと同時に、独自に主体的にサービスを受けるほどには十分に成熟していない。その中で、新しい自分を創り出そうそうとして自己を確立していこうと試行錯誤する時期である。そのため自分の興味や関心を模索する行動をとるが、この模索する行動のひとつとして、読書がある。この自己の確立において、子ども扱いされずに尊重され、自主的に関わっていけるような参加型のサービスが効果的となる。この不安定な段階を着実に受け止めることで成人サービスへの移行がスムーズに進むことにつながる。ここにヤングアダルト・サービスの意義がある。
実践するための計画の立て方としては、担当者を専任で任名し配置する、予算・経費を確保する、ヤングアダルト・サービスを図書館の奉仕理念・運営方針・活動計画に組み込む、研修を実施する、などがある。つまりは、ヤングアダルト・サービスを担う人が活動の対象者の発達に応じた特性や能力を熟知し、担当する仕事について十分に理解し、誠実に取り組むこと、そしてそれは組織的に行われるべきであることが求められる。その他の実践方法としては、ヤングアダルトを意識したフロアワーク、レファレンスサービス、レフェラルサービス、活動プログラムなどがある。例えば子ども扱いするような言動を避け、どのような対応を望んでいるのかを汲み取るようにする。例えば読書会など主体的に活動する場を設けるようにする。また流行の影響を受けやすく興味関心が移り変わる年齢層なので、時代の変化を把握することも求められる。例えば情報化社会において、SNSでの発信は、図書館をより身近なものとするだろう。
4.結語
図書館サービスのうち、対象別サービスにおいては、利用者の特性をとらえ、意義を認識しておくことが求められる。直接サービス・間接サービス同士の連携が必要であり、利用者のニーズを捉えることで、効率的かつ効果的なサービスが提供できるようになる。
参考文献
笹倉剛著『心の扉をひらく本との出会い』北大路書房
講評
このレポートには2つの設題があります。
最初の設題は直接サービスの意義と方法、間接サービスの意義と方法について述べることです。ここはこれでよいです。要点を押さえています。
二つ目の設題はヤングアダルト・サービスの意義と方法について述べることです。ヤングアダルト・サービスは図書館によっても取り組みの温度差はありますが、とても重要なサービスと言えます。ここもこれでよいです。良くまとまっています。
これで合格です。今後も精進して頑張ってください。
感想
レポートは、「図書館サービス概論」の教科書をおおいに参考にして作成しました。参考文献は、内容を理解するには役立ちましたが、レポートを作成する際にはテキストの内容を主とし、余計な意見は書かないようにしました。
設題1では、直接サービスと間接サービスについて、一般的な説明をした後、児童サービスにおけるそれぞれの具体的な方法について、記述しました。
設題2では、ヤングアダルトサービスを主として書きつつ、設題1と関連して、直接サービスと間接サービスもやや意識した記述としました。
講評には評価するポイントが記述されており、理解の再確認に役立ちました。
はじめて学んだ言葉・考え:ブックスタート、ストーリーテリング

「児童サービス論」を学んで、対象別サービスのうち、特に児童への対応について学びました。子どもの頃から図書館が身近にあれば、成長したときに、学校ではないコミュニティとつながっている状態が維持される可能性があります。年齢も社会背景も問わない社会です。そのときその児童には学歴社会だけではない世界が既に存在していることとなるのでは、と思います。児童に本を手にとってもらう、図書館という場所を知っていてもらうことは長期的にも大変意義あることのように感じました。
レポート作成で意識したこと、書き方については、こちらにまとめています。
随時更新していこうと思います。わかりにくい点や修正すべき点などがあれば御指摘下さい。
よろしくお願いします。