図書館情報資源概論レポート(2022 近大通信司書)

レポート

2022年4月入学の「図書館情報資源概論」レポート解答例になります。

文章の構成など、少しでも参考になればと思います。

*注* 解答例の丸写し提出は大学より禁止されていますので、参考程度に留めて下さい。

「図書館情報資源概論」レポート設題

公共図書館が地域資料を収集するのはなぜかを考え、地域資料の特性と今日の課題としての地域資料のデジタルアーカイブ化について論じなさい。

*「レポート作成上の留意事項・ポイント」、「総評基準についてのメッセージ」にも、レポート作成のヒントがありますので、レポート作成前にも後にも読むことをお勧めします。

「図書館情報資源概論」レポート解答例

1.序文

 公共図書館には地域資料を収集する役割があるが、近年、資料のデジタルアーカイブ化が進められている。地域資料とは、図書館の所在する地域や自治体に関係する資料の事である。デジタルアーカイブとは、原資料を所蔵している所蔵館や提出元が有形・無形の文化的資源をデジタル化し、ネットワーク上に保存した保管庫のことである。公立図書館による地域資料のデジタルアーカイブ化における今日の課題について述べる。

2.地域資料のデジタルアーカイブ化における今日の課題

(1)地域資料を収集する根拠

 公立図書館での地域資料の収集は、図書館法第3条第1項が根拠法となっている。公立図書館は、「土地の事情及び一般公衆の希望に沿い」図書館サービスを提供するために、「郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(中略)を収集し、一般公衆の利用に供すること」と明文化されている。

 図書、逐次刊行物、視聴覚資料、電子資料などは、人類の知識や情報、また学術的な成果を蓄積したものであり、人々の日常・社会生活に欠かせない情報媒体である。図書館はこれらの資料を幅広く収集し、利用者に提供することにより、人々の知る自由を保障し、先人に記録や思想を、次の世代へと確実に伝えていく、社会的責任を担っている機関である。その地域に関わる情報資源を収集することは、図書館の重要な任務である。

(2)地域資料の特性

 地域資料の具体例として、地域図書・雑誌、地図、地域新聞(新聞切り抜き)、小冊子、点字資料、ポスター、はがき等の印刷資料の他、写真(フィルム)、マイクロ資料、パッケージ系電子資料(CD、DVD)など、非印刷資料がある。現在は郷土に関係した資料以外にも、「その地域で生産された出版物」、「地域在住の人が出版した著作物」、「口承伝承による言い伝え」など、その地域でしか入手できない資料を中心に収集・提供されている。地域資料の特性は、一つ目として、多くが非市販資料であることが挙げられる。そのため入手が困難である事が多く、孤児著作物となる場合もあり、積極的に取り組まなければ収集できない。また希少で代替のきかない資料が多く、本来の目的である「利用」によって資料の劣化が懸念される。二つ目として、各地域で収集・提供されているため、その地域に行かなければ接することができず、利用する機会が限定的となる。三つ目として、上記のように資料の形態が多岐にわたるため、組織化に苦慮し、レファレンスツールにおいても独自に作成する必要がある。またその形態によっては、古文書は文書館、発掘資料は博物館、美術品は美術館、といったように保管場所が多施設に渡る。

(3)地域資料のデジタルアーカイブ化の方向性

 このような地域資料の特性を踏まえ、組織的に網羅する方法として、デジタルアーカイブ化がある。デジタルアーカイブ化する事で、直接触れずに利用できるため資料劣化を軽減することができ、どこからでもアクセスできるため利用機会が限定的にならず、資料形態に寄らず組織化できるため多施設共同で全資料を網羅できるようになる。

 2014年に刊行された『アーカイブ立国宣言』の中で、①国立デジタルアーカイブセンターの設立、②デジタルアーカイブを支える人材の育成、③文化資源デジタルアーカイブのオープンデータ化、④抜本的な孤児作品対策、という4つの提言がなされた。現状、一部の図書館では、地域資料サービスが積極的に行われ、独自分類の開発や検索システムの構築に加え、デジタルアーカイブ化が進められている。しかしその他の図書館では地域資料サービスに対して、予算や人材を特別に充てるほどの余裕がなく、地域資料を網羅的に収集することができない。その結果、地域資料の蔵書数は少なく、その存在さえ知られず、利用される機会も少ないという悪循環となっている。また、デジタルアーカイブ化に取り組んでいる図書館であっても、他機関と連携している施設は限られている。公立図書館が収集・保存しているのは地域資料の一部に過ぎず、文書館や博物館など他施設との連携が必要である。

 つまり今日の課題として、各図書館が地域資料サービスを推進しデジタルアーカイブ化に精力的に取り組むこと、他機関と連携し作り上げること、が挙げられる。岡山県立図書館「デジタル岡山大百科」、岩手県立図書館「イーハトーブ岩手 電子図書館」など、すでに作り上げられているものを参考に、MLA連携を基礎として、その地域特性を生かした組織化が求められる。

3.結論

 地域資料を収集し利用者に提供することで、地域理解がより深く得られ、資料を利用した地域活性化が可能となる。地域に根付いた図書館の在り方である。さらにはデジタルアーカイブ化によってより多くの利用者がアクセスでき、地域の魅力を外部へ広く発信することで、地域振興が期待される。ここで利用される資料の保管庫自体にも発展が求められる。目的をもって構築されつつあるこの大きな保管庫にアクセスする役割を担うのもまた、図書館である。

参考文献

岸田和明編著、小山憲司ほか著『改訂 図書館情報資源概論』樹村房
時実象一著『デジタル・アーカイブの最前線』講談社
Current Awareness Portal(図書館に関する情報ポータル)https://current.ndl.go.jp/report/no9
電子図書館システム「デジタル岡山大百科」http://digioka.libnet.pref.okayama.jp/

講評

1,2,3と見出しについて順序立てて記述できています。内容がやや抽象的です。

具体的な公共図書館のデジタルアーカイブ事例を示してまとめていきましょう。

感想

レポートの内容はテキストにはあまり記載されておらず、参考図書を大いに参考にしました。「図書館情報技術論」のテキストも参考にレポートを作成しました。

講評に書かれているとおり、抽象的な内容となってしまったようです。もっと具体的に事例について記載すべきだったのかと思います。

はじめて学んだ言葉・考え:デジタルアーカイブ、逐次刊行物
よう
よう

「図書館情報資源概論」を学んで、図書館から始まる地域振興について大いに関心を持ちました。他県のデジタルアーカイブ化はどのように取り組まれているのか、興味深い内容でした。

地域資料の発信がどのように進められているのか、各県や市の熱量にもよると思いますが、地域格差がないような(底上げするような)システムが構築できればなぁと感じました。

レポート作成で意識したこと、書き方については、こちらにまとめています。

随時更新していこうと思います。わかりにくい点や修正すべき点などがあれば御指摘下さい。

よろしくお願いします。

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