図書館制度・経営論試験(2022 近大通信司書)

科目終末試験

2022年8月にweb受験した「図書館制度・経営論」の科目終末試験の問題と解答例になります。

見直せば修正したい箇所は多々ありますが、試験で実際に提出したものをそのまま掲載させていただきます。少しでも参考になればと思います。

*注* 解答例の丸写し提出は大学より禁止されていますので、参考程度に留めて下さい。

「図書館制度・経営論」科目終末試験〜2022年8月問題〜

「人的資源のあり方」に関連し、大学図書館における専門的職員が行う業務を7点挙げ、それぞれについて簡潔明瞭に述べるとともに、専門的職員の能力をさらに発揮するためには、どのような工夫が必要か、貴方自身の考え方を含め記してください。

*字数制限なし

「図書館制度・経営論」科目終末試験〜解答例(85点)〜

 図書館の三大要素の一つである人の問題は、図書館経営において最も重要なことである。いくら、良い施設や設備、機器備品が用意されていても、人材配置が良くなければ、十分な活動を行うことができない。図書館の専門的職員とは、通常は司書資格を有するものをいうが、単に資格を持っていることをもって専門職とは言い難い。専門職は、必ず指導できる対象を持っている。専門性とは、「指導できる能力を持っている者」をいい、専門職とは、「専門知識を提供して報酬を得る仕事」と言えよう。いわゆる、主題司書(サブジェクトライブラリアン)を意味している。

 専門的業務を大学図書館の例で挙げると次のような7つの業務がある。

(1)レファレンス業務

 図書館の中では、代表的な司書職としての専門職業務である。主題質問の適切な処理、書誌の適切な提供や指導は、専門知識がなければできないものである。しかし、現実的には、担当者に対しては、養成の問題もあり、経験の浅いもの、主題知識が不十分な者等、専門職とは言えないレベルの者が担当することもあるが、将来的には、専門としての役割が期待される。レファレンス業務には、ジェネラルレファレンス、主題レファレンス、特殊コレクションレファレンス、特殊資料レファレンス等、各種レファレンス業務がある。

(2)選定・除籍業務

 選定業務は、司書として高度な主題知識や幅広い教養をもち、利用者のニーズを考えながら、適切な資料を収集する必要がある。レファレンス同様、司書職としての専門職性の強い業務である。しかし、選定に当たり、単に書評に出た本を網羅的、単純的に選定したりするような、ルーチング可能な選定業務は、専門性を必要としないので、ここでいう専門職には含まない。主題知識や教養知識等を十分有し、資料価値を判断する力を持っているかどうかにかかってくる。なお、選定能力は同時に除籍能力でもある。選んだ以上除籍もしなければならない。すなわち、選定業務がインプット、除籍業務がアウトプットの関係にある。

(3)分類・目録業務

 司書職としての図書の分類や目録作成には、深い主題知識や書誌学知識がなければ、本当に適切な業務を行うことはできない。主題知識や幅広い知識がないために、全く異なった分類番号が付与され、所蔵しているにもかかわらず提供できないことや、利用者からクレームを受けることも起きる。特に、目録作業における件名付与作業は、専門性を高く要求される。

(4)情報調査業務

 コンピュータを活用し、オンラインデータベースやCD-ROMデータベースから情報を探索し、上手に情報を入手するもので、司書職に求められる専門職業務である。参考図書同様、データベースの特性に精通しておかねばならない。なお、データベースと冊子体ツールとの相関関係など、レファレンスツール全体の専門的な知識が不可欠である。

(5)文献探索指導業務

 集団を相手に書誌等のレファレンスツールを活用し、体系的、系統的に文献を探索する方法を指導する司書職業務で、高度な主題知識や書誌等のレファレンスツール知識が必要である。

(6)視聴覚資料利用指導業務

 視聴覚資料を十分ン活用し、適切に利用者に資料を提供するには、詳しい資料知識と付属する機器が不可欠である。ここでいう視聴覚資料とは、映像資料(ビデオ、DVD、マイクロ資料等)、音声資料(カセット・レコーダー、音楽CD等に関する資料等)をいう。

(7)コンピュータ操作指導業務

 コンピュータを使いビデオ資料を編集したり、オンラインデータベース上の資料から加工目的のために映像資料をダウンロードするなど、学習・レポート・卒論指導に役立つような業務には、資料知識のみでなく機器操作に詳しい専門的職員が不可欠である。

 このような業務を担う専門的職員の能力をさらに発揮する工夫として、図書館を組織化すること、研修を充実させること、図書館サービスの評価などが挙げられる。

 図書館を組織化することとして、例えば一つ目として「組織作りの諸原則」に従うならば、専門化の原則を実現させれば、組織内で業務を分業し、専門性を持つことで生産性の向上が図れる。専門性を持つことで熟練し、ミスを減少させ効率化が達成でき、向上心が生まれる。これは、生きがい、働きがいにも関わり、重要である。また、権限委譲の原則を実現させれば、行動に責任が伴うようになり、より主体的に組織に関わることとなる。二つ目として主題別組織においては、図書館員が特定の専門主題に関して深く関与し、キャリアを蓄積できるため、主題専門家としての司書の育成ができることとなる。これは利用者側からみると、レベルの高い図書館サービスを受けることができるメリットとなる。

 次に、研修を充実させることとして、例えばOJT(on the job training)は、自らの変化適応能力を高める機会となる。課題形成、課題解決形成など、自らの能力開発や成長を実感する場となりうる。

 こういった自身の専門性やその成長が利用者にどのように寄与しているかを評価することも、重要と考える。図書館調査・利用者調査を行うことで、社会ニーズを捉え、また専門的職員の能力を発揮できているのか、時に好評価され、時に見直し修正する機会となる。

 以上に上げたものは、人間の高次な基本要求である、自主性、能力開発、成長性、責任性、貢献性を刺激し、より自発的に能力を発揮させようという行動につながるものである。こういった構造を基盤に、あとは専門的職員自身で維持・変化できるような組織を作り上げることが望ましいと考える。

(2279字)

感想

「科目終末試験問題」に類似問題があり、また先輩方のブログで過去問として情報を得て準備していた内容でしたので、関連部分をピックアップしながら、概ね落ち着いて解答できたと思います。

「貴方自身の考え方を含め記してください」という出題がされる科目になります。なかなか自分の考えを持てるほど理解を深められておらず、基本的にはテキストにある内容をまとめる形での解答となりました。

「科目終末試験問題」
18.「人的資源のあり方」で論じられている大学図書館での専門的業務7点を挙げ、各々について記せ。
よう
よう

相変わらず、長めの解答となってしまいました。もう少しまとめられると良かったです。

「自分の考え」を書く部分では急に語彙力が下がっています(^_^;) また内容としては、もう少し大学図書館におけるものにフォーカスを当てて書ければ良かったかなと思います。

よう
よう

「専門的職員の能力をさらに発揮するためには、どのような工夫が必要か」という問いは、私たちが図書館で働くときに重要になる問いかと思います。このような工夫がなされているのか、時々振り替えれたら楽しい司書生活になりそうだなと思います。

試験で使った参考資料

「図書館制度・経営論」を受験するために必要なレポートについては、別で記載しています。

科目終末試験について、総論的なことを記載しておりますので、参考になれば幸いです。

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