2022年5月にweb受験した「生涯学習概論」の科目終末試験の問題と解答例になります。
見直せば修正したい箇所は多々ありますが、試験で実際に提出したものをそのまま掲載させていただきます。少しでも参考になればと思います。
*注* 解答例の丸写し提出は大学より禁止されていますので、参考程度に留めて下さい。
「生涯学習概論」科目終末試験〜2022年5月問題〜
生涯学習社会の概念と生涯教育の概念について述べ、その違いについても述べなさい。
*字数指定なし
「生涯学習概論」科目終末試験〜解答例(95点)〜
(1)生涯学習社会の概念
生涯学習社会とは、「生涯のいつでも、自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が社会に置いて適切に評価されるような」社会である。また教育基本法第3条では、「生涯学習の理念」として、「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない」と、生涯学習社会の実現が到達目標・政策目標として示されている。
学歴社会においては、人生の限られた時期に、社会的に評価されている学校に入るために、学校教育の体系の中でいかに効率的に知識を吸収するかを追求することが求められる。これに対し生涯学習社会においては、学校教育を受ける時期は生涯を通じて開かれているし、学習する場は学校に限られず、学校教育と地域における種々の学習機会を連携させ効果的に組み合わせ、生涯にわたっていつでもどこでも学ぶことができるという環境を実現することを目指している。
またその学習内容を個人の利害に関するものから、社会の存立に関するものまで広げて考えることによって、生涯学習社会の意味は変わってくるといえる。生涯学習が個人の楽しみの追求に矮小化されず、社会的課題・公共的課題に迫る学習としてとらえられれば、生涯学習社会は、大いに期待される社会となる。
(2)生涯教育の概念
生涯教育という用語は、1965年以降に日本社会に定着してきたものである。1981年の中央教育審議会の答申「生涯教育について」において、「生涯教育」は「国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習を助けるために、教育制度全体がその上に打ち立てられるべき基本的な理念である」と述べている。教育を、人生の初期の学校において行われるものだけとして考えるのをやめる、ということが、その中心的な考え方である。生涯教育の中で、垂直的統合と水平的統合という考え方がある。学校へ行く前に行われる教育、学校を終わった後に行われる教育、にも注目し、それらを統合的に考える必要がある(垂直的統合)。また、学校という社会組織の他に、社会のさまざまな場面において教育を行っている組織・機関があり、それにも注目する必要があり、それらを統合的に考える必要がある(水平的統合)。学校以外の教育を、学校教育と同じように、全体として考える必要がある、ということが「生涯教育」という発想・考え方の基本である。
生涯教育については統一的な定義があるわけではない。しかしその共通概念は、個人、集団、社会の向上のために、生涯を通じて人間的、社会的、職業的な発達を図る営みのことである。
(3)生涯学習と生涯教育の違い
学習と教育の違いから述べると、生涯学習は、個人の側で行われる考え方や行動様式の変容の過程であるのに対し、生涯教育は、その個人に働きかけ、変容の中で発達を助長する営みである。
時代的な背景から述べると、1965年以降、学歴社会といわれる状況を変革する際に登場したのが「生涯教育」という概念であった。学校を中心とする教育から、「生涯教育」という発想での教育の仕組みづくりをするという方向への転換が進められた。「生涯教育体系への移行」である。その後、「教育」が押しつけがましいイメージを持つこと、生涯にわたる管理という誤解・批判を生ずることへの対応で、学ぶ人に焦点を据えるという配慮という説明がなされ、「生涯学習体系への移行」といく言葉が使用されるようになり、「生涯教育」という用語は後退し、「生涯学習」という用語が登場する。1981年6月、答申「生涯教育について」において、生涯学習は、自己の充実・啓発や生活の向上のため、自発的意思に基づき、必要に応じ、自己に適した手段・方法を選んで、生涯を通じて行う学習とし、また生涯教育は、生涯学習のために、社会のさまざまな教育機能を相互の関連性を考慮しつつ総合的に整備・充実しようとする考え方であると示した。そのうえで、今後は「広く社会全体が生涯教育の考え方に立って、人々の生涯を通ずる自己向上の努力を尊び、それを正当に評価する、いわゆる学習社会の方向を目指す」必要があると指摘した。
知っておくべきことは、置かれている社会背景の中で、「生涯学習」という用語が意味するもの、あるいは「生涯学習」に期待されるものが異なっている。これは日本においても、時代の流れとともに変化しうるものであることがいえる。社会背景をもとに生涯学習社会は転換・進展をとげ、また新たな役割が生まれている。社会の要請を的確にとらえ、柔軟に変容していくことが求められる。
(1939字)
感想
私が初めて受験した科目です。「科目終末試験問題」にはない問題でした。ただし類似問題がありましたので、概ね落ち着いて解答できたと思います。
「生涯学習概論」では、テキスト前半で、「生涯学習」「生涯教育」「社会教育」「学校教育」など、一見似たような言葉が多用されます。これらの違いや関係性については参考書の中で図解されているものなどを見ると理解しやすかったです。わかりにくいな〜と漠然とした理解で留めないよう、簡略化してまとめておくと、理解が深まり試験対策にもなり、良いと思います。

初めての試験は緊張しました。合格を知ったときは嬉しかったです。
レポート作成で2000字書くことが身についたためか、長めの解答となってしまいました。ここからもう少し内容を削る作業をするはずが、試験中にはそんな時間はありませんでした。

「生涯学習概論」の内容は、学んでいてすんなり入ってくる内容でした。
そして学習すればするほど、自分が今している学習を肯定してもらっているような、「勇気出して司書資格の出願をして良かった!」と思えるような、内容でした。
学歴社会ではなく生涯学習社会が求められる現状で、図書館が、自分が、どういう立場で社会に向かっていけばよいのか、考えさせられました。
試験で使った参考資料
「生涯学習概論」を受験するために必要なレポートについては、別で記載しています。
科目終末試験について、総論的なことを記載しておりますので、参考になれば幸いです。